Live Report

21.11.22

ZEN-LA-ROCK / G.RINA / 鎮座DOPENESSによるユニットFNCY ヒップホップのCOSMOにフロアが揺れた、 初の有観客ワンマンライブ完遂!

今年9月に2ndアルバムとなる『FNCY BY FNCY』をリリースした、ZEN-LA-ROCK、G.RINA、鎮座DOPENESSによるユニットFNCY。
そのワンマンライブが2021年11月19日、渋谷O-EASTにて行われた。
これまでにも数々のフェスやイベントでのライブは行ってきたFNCYだが、有観客ワンマンという形は、
2018年7月リリースの「AOI夜」のリリース以来、初の試み。つまり結成から3年越しとなる。
その待望の初ライヴを見届けようと、O-EASTは年代、性別ともに幅広いオーディエンスで満員となった。
そこからはFNCYの音楽性やファン層の幅広さはもちろん、各メンバーが決して短くないキャリアの中で切り拓いてきた
音楽シーンでの存在の確かさと信頼感を感じさせられた。

この日のオープニングDJはgrooveman Spot。
FNCYでは「him i gotta love」や「みんなの夏」を手掛けるトラックメイカーであり、
30年近いキャリアを誇るベテランDJである彼は、この日は80sから現代まで幅広い年代のダンスミュージックを繋ぎ、
フロアを温めていく。またスクリーンにはライブ直前に公開された、90sから現在までのカルチャーを詰め込んだ内容も印象的な
「あなたになりたい」MVが流され、観客の熱を高めていく。

G.RINAによる影ナレーションによって、オーディエンスへの注意事項とgrooveman Spotへの感謝の言葉、
そして「極上のサウンドをお楽しみください」というアナウンスが流れると、真っ暗なステージにFNCYの3人が登場。
ステージ後方から仄青い光が3人を照らす中、ライブは「Deep Continue」でスタート。
決して熱量の高くない、シックな感触でのライブの走り出しだが、ほぼ全てオーディエンスが曲に合わせて手を振り、
そこからは、この日のライブへの期待の高さを感じさせられた。

そして鎮座DOPENESSの「LADIES&GENTLEMEN。ようこそワンマンへ」という呼びかけからアルバム『FNCY BY FNCY』収録の
「New Days」、「FU-TSU-U (NEW NORMAL)」へと展開。コロナ禍で生まれた「新しい生活様式」という指針に対しての
戸惑いと同時に、「その先の希望」を歌うこの2曲が連続して披露され、特に「熱気が恋しい」という
「FU-TSU-U (NEW NORMAL)」の歌詞は、完全な形ではないがそれでも再び熱気を取り戻しつつあるフロアに印象的に響いた。
その熱気を受け止め、それに返すように「FNCY IS COMMIN’楽しんじゃいましょう今日は!」とオーディエンスに呼びかける
G.RINAの言葉には、会場から大きな拍手が起きる。

そしてライブは1stアルバム「FNCY」収録の「Train」から、2nd収録の「REP ME」とハウステイストを取り入れた楽曲が続けて披露され、観客の盛り上がりも更に高まっていく。またメンバー全員がDJとしても活動している経緯からか、
楽曲を展開させるDJプレイも3人がかわるがわる手掛け、そのコンビネーションの確かさも感じさせられた。

MCではZEN-LA-ROCKの「来てくれた人に感謝です」という言葉に併せるように、
「やっと初のワンマンなので、たくさんの曲をやりたいと思います」とG.RINAも観客に呼びかけ、観客の期待に応えると宣言する。
そしてゲストにギタリストであり、FNCY作品でもその辣腕を振るうKASHIFが登場。車のキーを回すアクションから始まった「DRVN’」、ラストはいまや定番となっている3人揃っての工藤静香「嵐の素顔」ムーブで魅せた。「みんなの夏」、
曲冒頭のクラップを観客にも求め一体感で突っ走った「THE NIGHT IS YOUNG」と、
小気味よいKASHIFのギターに合わせて、夏っぽい鮮やかな空気感がO-EASTに広がっていく。
しかし「silky(my boo ver.)」は、メランコリーな原曲とは真逆と感じるような、ベースが異様に響く
エレクトロファンクにリアレンジされ、会場全体が唸るような低音が観客の度肝を抜いた。

そして「FOOD GUIDANCE」のプロデュースを手掛けたトークボクサー/トラックメイカーのBTB特効が登場。
MVでイラストレイター永井博の登場も話題となった「今夜はmedicine」、「FOOD GUIDANCE」を披露。
続く「en」で、ZEN-LA-ROCKが曲中に発した「いろんな縁に最大感謝を伝えたいと思います!」という言葉は、
約四半世紀に渡るそれぞれの活動と様々なキャリアを経て、こうしてライブで共演する彼らの関係性の確かさや、
日本語ラップやダンスミュージックシーンの歴史と縁、豊かさを感じさせられた。

そういったヒストリーと繋がるように、ZEN-LA-ROCK作品にG.RINAが参加した「MOON」、
G.RINA作品に鎮座DOPENESSが参加した「想像未来」、FNCY結成の契機となった「SEVENTH HEAVEN」と、
FNCYが今日に至るまでの道程をこの3曲でタイトに表現。そしてFNCYのデビュー曲となった「AOI夜」から
最新アルバム収録の「TOKYO LUV」に展開し、ライブは一旦幕を閉じた。

満場から響くアンコールを求める拍手の中、今回のライブをサポートするEDWIN社のジーンズに着替え、
FNCYのオリジナルスニーカーに履き替えた3人が再び登場し、「アンコールまでたどり着きました!」と舞台上で乾杯を交わす。
そしてYouTubeチャンネル「SHOCK THE WORLD powered by G-SHOCK」でも披露された、
ゆるふわギャングとの「COSMO feat. ゆるふわギャング」で会場の熱気は再び沸騰。
続くAFRAのビートボックスに導かれた「あなたになりたい feat. YOU THE ROCK★」では、
日本語ラップのリビングレジェンドYOU THE ROCK★が登場。鎮座DOPENESSは90年代当時のYOU THE ROCK★のTシャツ、
G.RINAは96年に行われた日本語ラップの伝説的イベント「さんピンCAMP」Tシャツを着用し、
あこがれの感情をファッションとしてもアピールした。そしてメンバーも観客も興奮が冷めやらないまま、
ラストは「FNCY CLOTHES」を披露し、ライブは大団円を迎えた。

ギミックや過度な演出に頼ることなく、ライブパフォーマンスの確かさと、楽曲の構成力の高さという、
音楽の持つ根本の部分を精度高く表現することで、圧倒的な濃度で音楽的なハピネスを生み出し、会場を包み込んだFNCY。
同時にそこに至るまでの人間関係や絆、そしてキャリアの深化も感じさせられる、
ひたむきに音楽を続けていくことの尊さを感じさせるような感動的なライヴは、こうして幕を閉じた。

文:高木”JET”晋一郎
ALL PHOTO BY: Yuji Kaneko

『FNCY BY FNCY』Release ワンマンLIVE!!! Supported by EDWIN ® 503 

●セットリスト●

OPENING DJ(ゲスト:grooveman Spot) 

  1. Deep Continue
  2. New Days
  3. FU-TSU-U(NEW NORMAL)
  4. Train
  5. REP ME
  6. COSMO(smurf cosmo ver.)
  7. CONTACT(ゲスト:KASHIF)
  8. DRVN’(ゲスト:KASHIF)
  9. みんなの夏(ゲスト:KASHIF)
  10. THE NIGHT IS YOUNG(ゲスト:KASHIF)
  11. him i gotta love(ゲスト:KASHIF)
  12. silky(my boo ver.)
  13. 今夜はmedicine
  14. FOOD GUIDANCE(ゲスト:BTB特効)
  15. en(ゲスト:BTB特効)
  16. MOON(ZEN-LA-ROCK feat. G.RINA)
  17. 想像未来(RINA feat. 鎮座DOPENESS)
  18. SEVENTH HEAVEN
  19. AOI夜
  20. TOKYO LUV
  21. COSMO feat. ゆるふわギャング(ゲスト:ゆるふわギャング)
  22. あなたになりたい YOU THE ROCK★(ゲスト:YOU THE ROCK★、AFRA)
  23. FNCY CLOTHES